周知の通り、現在日本の教育制度では「4月入学」が用いられています
6才になると幼児は小学校に入学するわけですが、
新入生には、4月生まれ(6才11ヶ月)から翌年3月生まれ(6才0か月)のものまで混在しているため
極端にいえば、実年齢で約1年の隔たりがある子どもたちが、同一学年で同一に学習することになります。
この実年齢の隔たりは、身体的・精神的成熟著しい6才の児童にとって重大なハンディキャップとなる可能性があります。
※以下、1-3月生まれの人を「早生まれ」、4-6月生まれの人を「遅生まれ」と呼びます
■早生まれによるハンディキャップ
早生まれの子どもは、そうでない子どもと比較して身体的に劣っている、と報告する研究は国内外問わず数多く存在します。
たとえば松原[1]は、年少児群( 6才0~1か月), 中間児群( 6才5~6か月)年長児群( 6才10~11か月)の3群について、身長・体重・胸囲・座高などの体位は, 男女とも小学1年生から中学3年生まで, 年長児群が年少児群に比較してすぐれている (ただし, 女子の身長, 座高は中学2年生まで)ことを統計的手法を用いて示しています 。
また、身体面だけでなく、学業面における早生まれの劣位性についても様々な研究が存在します。
たとえば川口ら[2]は、早生まれの人は遅生まれの人より偏差値がおおよそ2から3低いこと、早生まれの人は遅生まれの人よりも国私立中学校に在学する確率が2.5%ポイント低いこと等を示しています。
このような格差は、身体的・精神的成熟に伴って自然に是正されていく、と結論づける研究も多くみられます。
しかしながら、本来では生まれ月による学力差はないはずなのに、たまたま早生まれであったがゆえにハンディキャップを背負ってしまう児童がいて、そこで感じた劣等感がその後の人生まで左右してしまう、という可能性は否定できません。
たとえば、早生まれの児童が同級生に対して劣等感を抱いてしまい、内向的な性格に成長してしまった結果、「オタク趣味に目覚める」、とか…
というわけで、
オタク、早生まれやたら多い[説]
を検証してみます。
■調べてみよう
幸か不幸か、ぼくの周囲にはオタク(特に電車)がたくさんいるので
[説]を検証するためにアンケートをとってみました
質問とその集計結果がこちらです↓
でんしゃのオタク、早生まれやたら多い[説]を検証します
— まめ (@MamemameNi) May 27, 2020
でんしゃのオタクの皆様、投票よろしくお願いします
質問文:
「でんしゃのオタク、早生まれやたら多い[説]を検証します
でんしゃのオタクの皆様、投票よろしくお願いします」
⇒「オタク」という言葉は定義が広いので、わかりやすくするために「でんしゃのオタク」に絞ってアンケートを行いました
結果:
4-6月生まれ…21.5%
7-9月生まれ…18.1%
10-12月生まれ…27.5%
1-3月生まれ(早生まれ)…32.9%
仮説を裏付ける結果が出ました
このような結果が出た理由として、たとえば次の可能性があります
①予想通り、早生まれの人はオタクになりやすい
②質問文に興味を持ってくれた早生まれの人が率先して回答してくれた(いわゆるバイアス)
ぶっちゃけ②の可能性が高いでしょう。
無作為に抽出したでんしゃのオタク一人一人に質問してみないと価値のあるデータは取れません…
■まとめ
いかがでしたか?
今回、早生まれとオタクの関係について調べてみました!
Twitterを利用してアンケートを行った結果、それっぽいデータは取れましたが結局よくわかりませんでした!
今後も早生まれとオタクの関係からは目が離せません!
それではここまで読んでいただきありがとうございました!
…
・Twitterのアンケートで社会調査はムリ
・それっぽい社会調査のウソにだまされないように気を付けよう!
紹介した研究は以下の通りです
[1]松原達哉|生まれ月からみた児童・生徒の心身の発達差に関する縦断的研究,教育心理学研究,14巻1号,p.37-44,1966
[2]川口大司,森啓明|誕生日と学業成績・最終学歴,日本労働研究雑誌,49(12)p.29-42,2007